パブリックドメインのギター曲 5 選
著作権が切れて自由に演奏・編曲できるクラシック・ギターの 5 曲を整理します。いずれも Tab Sketcher にサンプル曲として収録されており、各曲の「この曲を開く」ボタンから本格的なトランスクリプション譜をエディタで直接開けます。作曲者の情報と作品の背景は Wikipedia および IMSLP の一次資料に基づきます。
Romance(スペイン・ロマンス)
- 作曲作者不詳、19 世紀スペイン
- 調ホ短調/ホ長調
- 拍子4/4(原曲のトランスクリプション)
- 使用コードEm, B7, Am, D7, G, E, A
「Spanish Romance」または「Romance Anónimo」として知られる作品です。作曲者は確定しておらず、Antonio Rubira や Daniel Fortea が候補に挙げられてきましたが、決定的な資料は残っていません。旋律は 19 世紀末スペインで生まれたと推定され、1952 年のルネ・クレマン監督の映画『禁じられた遊び』の主題曲として用いられたことで世界的に知られるようになりました。
核となるのはトレモロ奏法で、1 つの旋律音を 3 回連続で弾く独特のパターンです。旋律は常に最も細い 1 弦にあり、ベースが 6 弦側で同時に進行するため、一人の奏者が二つの声部を同時に描き分けることになります。前半はホ短調で、中間部では同じ主音のホ長調へ転調します。
この曲を開くGreensleeves(グリーンスリーブス)
- 作曲イギリス伝承曲(16 世紀)
- 調イ短調
- 拍子6/8(原曲のトランスクリプション)
- 使用コードAm, C, G, Em, E
イギリスに最も古くから伝わる旋律の一つです。1580 年にイギリスの出版登録簿 Stationers' Register に「A new Northern Dittye of ye Ladye Greene Sleves」という題で初めて記録されました。ヘンリー 8 世の作曲という通説は 19 世紀になって生まれた伝承で、実際の作曲者は不明です。
6/8 拍子の流れるような進行と、自然短音階と和声短音階を交互に用いる旋法的な色彩の変化が特徴です。終止句で導音が上がることで一瞬の明るさが生まれます。同じ旋律はクリスマス・キャロル What Child Is This? の旋律としても用いられています。
この曲を開くLágrima(ラグリマ)
- 作曲フランシスコ・タレガ(1852-1909)
- 調ホ長調
- 拍子3/4
- 使用コードE, B7, A, Em, Am
スペインの作曲家・ギタリスト、フランシスコ・タレガの短い独奏曲です。Lágrima はスペイン語で「涙」を意味します。演奏時間は約 1 分 30 秒、作曲時期は 1881 年頃と推定されます。タレガ自身がよく演奏していたと伝えられています。
前半のホ長調から、同じ主音を共有する中間部のホ短調へ移ることで色彩の対比が生まれます。短い尺の中にスラー、グリッサンド、ビブラートといった左手の技巧が凝縮されており、両手の独立を学ぶ初級教則本に頻繁に収められます。
この曲を開くGymnopédie No.1(ジムノペディ第 1 番)
- 作曲エリック・サティ(1866-1925)
- 調ニ長調
- 拍子3/4
- 使用コードGmaj7, Dmaj7, Bm, Em, A7
フランスの作曲家エリック・サティが 1888 年に作曲・出版したピアノ独奏曲集 Trois Gymnopédies の第 1 曲です。表題の Gymnopédie は古代スパルタの青少年の祭典を指すギリシア語に由来しますが、サティ自身がその語を本作にどう結びつけたかは明確には残っていません。
3/4 拍子のゆるやかな進行のうえに、メジャー・セブンス(Gmaj7、Dmaj7)が反復され、当時の機能和声から離れた響きを生み出します。この和声的な曖昧さは後のドビュッシーやラヴェルにつながる印象主義音楽の先駆と評されています。
原曲はピアノ独奏ですが、ギターへの編曲版が広く演奏されています。Tab Sketcher が収録しているトランスクリプションのメタデータには「繰り返し時には人工ハーモニクスで上声部の旋律を浮かび上がらせる」という演奏指示が記されています。
この曲を開くCanon in D(カノン ニ長調)
- 作曲ヨハン・パッヘルベル(1653-1706)
- 調ニ長調
- 拍子4/4
- 使用コードD, A, Bm, Bm7, G
- チューニングドロップ D(6 弦を D に下げる)
ドイツ・バロック期の作曲家ヨハン・パッヘルベルの Kanon und Gigue in D-Dur(P 37)の第 1 曲 Kanon です。作曲時期は 1680-1706 年頃と推定されます。1919 年に音楽学者 Gustav Beckmann が初めて出版するまでほとんど知られておらず、20 世紀後半に大衆的な人気を得たのち、映画・広告・結婚式の定番曲となりました。
原曲の編成は 3 つのヴァイオリンと通奏低音です。2 小節のベース進行(D - A - Bm - F#m - G - D - G - A)が 28 回繰り返されるオスティナートの上で、3 つの上声部が 2 小節ずつ遅れて入り、互いを模倣するカノンを形成します。
Tab Sketcher が収録するトランスクリプションは ドロップ D チューニング(6 弦を E から D に下げる)で編曲されたバージョンです。標準チューニングと異なるため、エディタを開くとチューニング表示は「Guitar Dropped D Tuning」になります。
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